薬剤科

Pharmacy

ごあいさつ

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当科は薬剤師2名でスタートしました。当院は1979年10月に一般病床43床、透析病床10床にて開設し、その後5回の増築(増床)工事と幾度もの診療報酬改定を経ながら薬剤師数は増員(ときに減員)され、2024年5月現在、常勤薬剤師5名で日々の業務を行っています。

我が国の病院薬剤師の中心的業務は、1980年代後半から現在までの国の政策や診療報酬改定により、外来患者さんを対象とした調剤業務から、医薬分業の進展とともに入院患者さんを対象とした病棟業務へと大きく変化してきました。

当科でも少しずつ業務の変革を行ってきましたが、2024年2月の新病棟オープンを契機に、開設以来44年間続けてきた外来患者さんに対する院内処方を院外処方(透析科処方を除く)へ移行しました。これを好機と捉えて入院患者さんとの接点をさらに増やして、「院内の薬あるところに薬剤師あり!」をスローガンに、医師や他の医療スタッフと連携して業務にあたっています。

主な業務

①調剤業務

医師が電子カルテシステムで発行した処方箋・注射箋に基づいて調剤しています。
内服薬・外用薬では、電子カルテシステムと科内の調剤支援システムを院内ネットワークにより連動させ、錠剤の分包、散薬の分包、薬袋の印刷、相互作用・過量投与重複投与などのチェックを自動化しております。

薬剤師はその専門的知識を生かして、投与量、投与回数、投与形態(経口、経管、粉砕、一包化など)、患者さんの背景(年齢、合併症、肝機能障害、腎機能障害など)をしっかりチェックし、必要に応じて医師に処方提案や確認を行っています。

注射薬では、前述のチェック項目だけでなく、投与速度、投与順序、配合変化(2種類以上の注射剤を混合した際に、効力低下・着色・沈殿などの変化が生じること)、安定性のチェックも行っています。
調剤後は、内服薬は与薬カート、注射薬は注射カートへ患者さん毎にセットして、病棟へ払い出しています。

②院外処方箋の疑義照会業務

保険薬局からの院外処方箋に関する疑義照会(処方箋中に疑わしい点[疑義]がある場合に、処方医に問い合わせて確かめる[照会する]こと)及び服薬状況に関する情報提供に対しては、当科が窓口となり処方医へ迅速かつ正確に確認及び伝達を行っています。また、特定の保険薬局とは、投薬待ち時間の短縮や疑義照会に係わる業務の簡略化を目的に、「事前合意プロトコール(規約)」を作成して運用しています。

③病棟業務

新規入院患者さんの持参薬は、入院時に薬剤師自ら受け取り、同時に服薬状況、副作用歴やアレルギー歴などを聴取しています。受け取った持参薬については識別報告書を作成して、処方内容、当院採用の有無や代替薬の提案、残数などを医師や看護師に報告しています。

入院後は病室へ出向き、処方薬の使用目的(効果)・使用方法(用法)や注意点を説明し、患者さんがより効果的かつ安全な薬物治療が行えるように指導や管理を行っています。検査値や患者さんからのお話をもとに、薬の効き目は出ているか、副作用が出ていないか、薬の飲み合わせの心配はないかなど、患者さんの情報取集→問題点の明確化→解決のための計画立案→計画の実施を行い、その要旨を電子カルテシステムに記載するとともに、必要に応じて医師にフィードバックしています。

④医薬品情報業務

新薬は、発売までに10~15年以上の年月、更に数百億~数千億円の費用を投じて、その成分を開発し、動物での非臨床試験の後ヒトでの臨床試験など、様々な研究課程を経ねばならず、多くの資料提出が義務付けられています。
このことからもわかるように、医薬品は「情報の塊」です。医薬品をより効果的かつ安全に使用するには、その最新の情報を得ることが不可欠です。

情報の収集には、厚生労働省、製薬メーカーからの情報提供やインターネットを介した医薬品情報サービスを活用しています。新薬の使い方や既存薬の新しくわかった副作用・使用上の注意の内容などの情報を集約し、医薬品情報ニュースなどを作成して院内メールで関係する医療スタッフに配信しています。 全ての院内採用薬の最新の添付文書(医薬品に添付されている効能、用法、用量や使用上の注意、副作用などを記載した書面)は電子カルテシステムで閲覧でき、他にも独自に作成した各種医薬品の一覧表、比較表、投薬ガイド、アルゴリズムなども閲覧できるようにしています。

⑤医薬品管理業務

院内で使用される全ての医薬品の購入から、在庫管理、院内各部署への供給を行っています。医薬品の購入額は病院経費の大きな部分を占め、その管理・効率的な運用は経営に与える影響が大きく、薬剤科内だけでなく院内各部署の適正な医薬品管理が求められています。
煩雑な在庫管理業務を効率化するために、バーコードとハンディーターミナルを利用した入出庫、オンライン発注、購入額管理に対応した医薬品在庫管理システムを導入しています。

⑥委員会活動(チーム医療)

当院では、異なる職種の医療スタッフが連携・協働し、それぞれの専門的な知識・経験を発揮することで、医療・生活の質の向上、医療の効率化、医療スタッフの負担の軽減、医療の標準化・組織化などを達成するための様々な活動を行っています。
薬剤師もその一員として、院内感染防止対策や医療安全管理などに参画しています。